四 群 点 数 法(香 川 式 食 事 法)
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こ ぼ れ 話 シ リ ー ズ 
                
セット食とアラカルト食
日本語にカタカナ語が増えてきたからといって、外国語化したと言えるかどうか。それと同じことが「食の欧米化」にも当てはまるようです。チーズ、バター、ハム、ソーセージは外来食物。ちょうどカタカナ語のようなもの。これらが増えてきたからといって、日本人の食が「欧米化」したと言い切れるかどうか。

では、食の何が変われば欧米化したことになるのでしょう。ちょうど日本語の何が変われば外国語になるのか、という話と似ています。もしそうなったとすれば「日本語の文法が変わった」としか言いようがなく、とりもなおさず日本語による思考様式が変わったということでしょう。しかし、カタカナ語が氾濫していても、まだそういう気配はなさそうです。日本語の構造は変わっていない、といえるでしょう。

そういう目で見ると「食の欧米化」とは、正確に言えば「食構造の欧米化」ということになるでしょう。そこで食構造とは何か、ということになります。

日本型食と欧米型食では「献立の構造」が違います。日本型食は主食のご飯、主菜の肉・魚、副菜の野菜、それに汁物のセットから成っています。このうちのどれかが欠けても、どこかシックリこない。主食にはパンやメンなどの穀類食品が位置することもあります。

このセットは外来食物が侵入してきても、吸収同化して基本的に変りません。主食・副食の対立観念は、日本語の文法がそうであるように日本人の頭に焼きついています。このセットこそが、ひとまとまりの食事として完結した印象を与えるのです。

欧米型はアラカルト方式と言えるでしょう。目の前の料理をまんべんなくつまんでいく方式。料理同士に主従の別は特にありません。肉料理がメインデイッシュといっても、日本食のメシのように主食の座を占めているわけではありません。アラカルト方式のルールは、種類の違う食物をマンベンなく取り合わせるバランスです。

セット方式は栄養学的に見て「練り上げられた」食事法といえます。主食の穀物食品は炭水化物・タンパク源、主菜の肉・魚はタンパク・脂肪源、副菜や汁物はビタミン・ミネラル・繊維源です。四群点数法の第四群は主食、第二群は主菜、第三群は副菜に相当します。目をつぶっていても健全な食事が保証されるという仕組みになっています。

ジャガイモやパンなどを中心に据えていた欧米型食で肉類がどんどん前面に出てきて、食卓を席巻するまでになりました。現代欧米人の脂肪過多、炭水化物過少のイビツな栄養バランスも、シバリの弱いアラカルト方式の性格に原因しているのかもしれません。

平均的には日本人の炭水化物摂取量はエネルギー比55%で欧米のほぼ倍、脂肪エネルギー比
25%程度でほぼ半分。まだ「健全域」にあります。しかし、だんだん無秩序なアラカルト方式で食生活が破綻している若い人が増えているようです。セット方式の食事に歯止め役が期待されています。

女子栄養大学教授 五明紀春
こぼれ話・第9話(Nov/2006)
セット食・料理写真:『なにをどれだけ食べたらいいの?』
献立作成・料理:森野眞由美
写真撮影:中村淳
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