|
|
| 日本料理のフードシステム | |
| 現在、海外日本料理店は24,000店ともいわれ、日本料理の海外普及がめざましい。それとともに、本来の日本料理とは違う「日本料理」が、世界各地で顰蹙(ひんしゅく)を買うようになりました。一方で食中毒事故の頻発も報じられ、捨て置けない事態になっているようです。 もともと、生鮮魚介を主材料とする日本料理は衛生上のリスクが高いと考えられます。鮮度が落ちた魚は生臭くまずくなるだけでなく、食中毒と背中合わせが常識です。生魚には寄生虫の心配もあります。したがって、日本料理には食中毒対策・安全対策の知恵と技術が蓄積されています。たとえば寿司。生きのいいネタはもちろん、酢、わさび、ガリ、濃い緑茶そして醤油、すべてが食中毒菌、寄生虫対策になっています。にわか仕込みの外国人寿司職人が、こんなキメ細かい安全ネットにいちいち気配りしてくれるとは思えません。 というわけで、日本食文化の世界普及に熱心な役所はじめ日本料理関係者の間から「日本食文化の海外版基準テキストを作成しよう」「食の安全・安心キャラバンを世界に派遣しよう」「外国人シェフを対象に日本料理研修をやろう」の声が上がっています。 終戦直後、全国各地の栄養・食糧事情を調査した米陸軍衛生班のC.F.サムス大佐は、戦争の惨禍にもかかわらずどこへ行っても餓死者はいなかったと報告しています。食料の半分は配給以外のルート。当時の日本人の間には知恵と工夫の伝統的なフードシステムが生きていました。しかし、同時に、大佐は、海洋国の日本人は聞いていたよりずっと魚を食べる量が少ないことにも驚いています。海岸から少し陸地に入ると干物に限られ、とうてい「魚食文化」といえるものではなかったと観察しています。戦災と関係なく、昔から内陸部の日本人にとっては、たしかに鮮魚は縁遠いものでした。いくら鮮度が良くても、運ぶ方法がなければどうにもなりません。当たり前のことに流通のフードシステムがあって、はじめて生の魚をおいしく安全に食べられるわけです。 人口の半数近くが肥満で苦しんでいるといわれる欧米の人たちにとって、日本食は健康食イメージ。実際、食べてみたら「案に相違しておいしかった」という人が増えているようです。しかし、日本食はたんに食材や調理法で尽くされるものではありません。それは、全体として、ひとつのフードシステムから成っています。 水揚げした鮮魚を調理台まで届けるコールドチェ−ンの完備はもちろん、品質吟味に長けた「魚の目利き」が随所で目を光らせていなければなりません。コ―ルドチェ―ンはヒュ―マンチェ―ンでもあるのです。日本食の海外普及とは、ソフトとハード両面のフードシステムの普及であり、つまりは等身大の日本文化の普及でもあります。 |
|
| 女子栄養大学教授 五明紀春 | |
| こぼれ話・第17話(Feb/2007) | |
| KNU ダイエット HOME>四群点数法 TOP>こぼれ話 >日本料理のフードシステム |
|
| 四群点数法 Established 1961◆Copyright 2007 4-Gun d Project. All rights reserved. |